『エンディングノートに書くべきこと』
エンディングノートに書くべきことは、大別すると2つに分けられます。
1.ご逝去後のこと(相続)
2.ご逝去前のこと(老後)
今回は、「1.ご逝去後のこと(相続)」について解説します。
(※なお、エンディングノートの雛形をお探しの方は、島根県司法書士会のHPよりダウンロードできるエンディングノートがおすすめです。)
1.ご逝去後のこと(相続)
1-1 ご家族のこと(家系図)を書く
ご自身の相続を考えるとき、またはご家族があなたの相続手続きをするとき、『誰が』、あなたの『何を』、『どうやって』、相続するのかが重要です。
このうち『誰が』にあたる人(たち)が、相続人です。
そこで、あなたの家族関係(家系図)をエンディングノートに書き留めることで、相続について考えやすくなり、またはご家族が相続人を調べるための役に立ちます。
なお、実際の手続き(相続手続き)の際には、エンディングノートの記載ではなく、戸籍謄本をもって相続人の判定を行うため、エンディングノートにあなたの本籍地が記載(※1)されていると、ご家族が戸籍謄本を請求しやすくなるでしょう。
(※1 エンディングノートを適切な方法で保管できる場合に限る。)
1-2 財産のことを書く
法律の世界では、相続が発生すると、あなたの財産は自動的に相続人に受け継がれます。
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
一方、現実の世界では、自動的にとはいかず、何らかの手続き(相続手続き)が必要です。
そのため、あなたがお持ちの財産につき、それが「どこにある」のか、エンディングノートに記載しておくことで、相続人の方々が「どこで」相続手続きをすればよいのか、わかります。(また、ご自身の財産を整理することで、老後のライフプランも立てやすくなることでしょう。)
①預貯金について
「金融機関の名前」「支店名など」「種類(普通・定期など)」「口座番号」を記載しましょう。
暗証番号と金額は記載しないでください。暗証番号や金額が分からなくても、相続手続きができますので、ご安心を。
つまり、お金を引き出せるように準備するのではなく、「どの金融機関にあなた名義の預貯金が保管されているのか」、相続人の方に分かるように準備する事が重要です。
②有価証券(株式など)について
基本的には、①の預貯金と同じです。
ただし、上場していない会社の株式など「金融機関に保管されていない有価証券」をお持ちの場合は、エンディングノートに詳細を記載しておく方がよいでしょう。(例:非上場株式の場合、株主名簿や株主名簿記載事項証明書など)
投資目的で有価証券を保有している方は、相続人が必ずしも投資に詳しいとは限らないことを覚えておいてください。(※2)
(※2 当職の経験上、「株のことはわからないので、株式のまま相続するのではなく、売却を希望する」とお答えになる相続人の方が多い。)
③不動産について
登記簿(登記事項証明書)や固定資産税の納税通知書を参考に、エンディングノートに不動産の詳細を記載しておきましょう。別紙参照と記載して、登記簿や納税通知書とセットでエンディングノートを保管するのもよいでしょう。
「昔、原野商法で買ってしまった土地は書きたくないなあ」とお思いの方(いわゆる「負動産」をお持ちの方)もいらっしゃると思います。残念ながら、いつかはバレてしまいます(※3)ので、きちんとお書きになられた方がよいでしょう。
(※3 固定資産税がかかる不動産の場合、役所から相続人へ請求書が送られてきます。今後は、相続登記の義務化による法務局からの通知で不動産の所持が判明することも増えるでしょう。)
続きます。