(前回の続き)
Aさんの施設での生活(ご逝去後のことを含む)のため、当職とAさんは、財産管理等委任契約および死後事務委任契約を締結しました。
財産管理等委任契約とは、認知機能が低下する前であっても、専門職等に、後見人等と同じように、財産を管理してもらうための契約です。
Aさんは認知機能がしっかりしているので、ご自身で財産管理を行うこともできましたが、ご本人が契約を希望されました。
ご自宅の売却により老後の資金は多すぎるほど確保できていたため、契約コスト等を差し引いても、財産管理等の手間から解放されることを望まれたようです。
お金の管理から、郵便物の転送設定・自治会長への連絡・ちょっとした日用品の配送手配・親族関係者への引っ越しのご連絡等、色々とお手伝いをさせて頂きました。
死後事務委任契約とは、亡くなった後の事務(ご葬儀や納骨・最後の施設費の支払い等)を、専門職等に行ってもらうための契約です。
(施設入所の前)ご本人様とお寺に行き、ご住職さんを交えて、
「どのような葬儀にして、誰を呼び、いくらで行うか、加えて墓じまいをどうするか」などなど・・・打ち合わせを行いました。
その結果を、公正証書という形で残し、”その時”に備えておきました。
Aさんのような、いわゆるおひとり様は、見守り・任意後見・財産管理等・死後事務委任※を契約することが、ご本人の意に沿うことになることが多いですが、Aさんはこれを段階的に締結していった次第です。
Aさんのように、認知機能に問題がない方は、「自分の財産の管理や死後の事務をお願いする人」を見極めながら、順次、契約を締結していくことができます。これは、(残念ながら)法定後見では難しいことです。
※通常は遺言も作成します。ただし、Aさんは既に某信託銀行と作成した遺言がありました。遺言の内容をAさんと確認したところ、そのご意志に変更がなかったので、当職は、コストもかかることから、特に遺言の内容の変更はご案内しませんでした。