①では、子どものいない夫婦は、遺言を残す必要性が高いことを解説しました。それでは、遺言を残すにはどうすればよいのでしょうか?
主に、以下の3つの方法があります。
1.公正証書遺言で残す。
2.自筆証書遺言で残す。
3.自筆証書遺言(法務局保管)で残す。
※他、秘密証書遺言や特別方式遺言もありますが、利用例があまりないため割愛。
どの方式の遺言にも一長一短がありますので、ご夫婦の状況に応じて選択すべきです。
(※もっとも、我々、実務家は、「1.公正証書遺言で残す」をオススメするのが、通例です。)
ここでは、夫に遺言を残してもらう場合の、妻の立場を考えてみます。
仮に夫が「2.自筆証書遺言で残す」を選択した場合、どのような手続きが必要になるでしょうか?
「2.自筆証書遺言で残す」を選択した場合、実際に相続が発生した(夫が亡くなった)とき、家庭裁判所にて検認(※)という手続きをする必要があります。
※検認とは
遺言書の偽造・変造を防止するための手続のこと。
①遺言の保管者又は遺言を発見した相続人が、家庭裁判所に申立書及びその他必要書類を提出する。
②相続人全員へ、家庭裁判所から検認期日を知らせる通知が発せられる。
③期日に、相続人全員の立会いのもと、裁判官が遺言を検認する。なお、相続人の出席は任意である。
➡詳しくは、「家庭裁判所 検認」などで検索してください。
「1.公正証書遺言で残す」「3.自筆証書遺言(法務局保管)で残す」の場合、上記の検認が不要です。妻の立場から考えると、検認がない方が負担が減ることでしょう。
したがって、遺言を残すときは、最寄りの公証役場(1の場合)又は遺言書保管所(法務局)(3の場合)にお問い合わせのうえ、その準備をしましょう。(または司法書士等にお問い合わせ頂いても可。段取りをしてくれますし、遺言書の内容についても相談にのってくれます。)
次に遺言の内容を考えてみます。
「私は、私の有する全財産を私の妻 何某(年月日・本籍地どこそこ)に相続させる。」
とするのが、子どもがいない夫婦の遺言として一般的な文言と思われます。
もっとも、夫(遺言者)の状況は、千差万別です。財産状況や意向(妻以外にも財産を遺したい人がいる)、遺言執行者の要否など、いろいろと検討する点があります。つまり、遺言の内容は画一的に「子どもがいない夫婦はこう書くべき!」と決めつけるのは適当ではないと思われます。