(はじめに)このコラムでは、司法書士の目線から、エンディングノートとは何か、エンディングノートの役割などを解説していきます。ご笑覧いただければ、幸いです。
『エンディングノートとは』
当職の知る限りでは、エンディングノートにつき、「これ!」という明確な定義はないようです。
ここでは「自分の人生の最後(=エンディング)に向けて、自分自身にまつわることをいろいろと書き留めた書類」を、エンディングノートと呼ぶことにしましょう。
上記の「いろいろ」の内容は、人それぞれです。
「遺産のこと」を書かなければならないとか、「老後の生活のこと」を書かなければならないとか、遺言や他の制度・契約とは違い、かたくるしい決まりはありません。気軽に書き始めることができるのが、エンディングノートのよいところでしょう。
一方で、エンディングノートに法的な効力がないことは、知っておくべきことでしょう。
『エンディングノートの役割』
エンディングノートには法的な効力がないので、当職としては、「遺言」(特に公正証書遺言)や「信託」、「死後事務委任契約」などを用いて、相続や老後の備えをして頂きたいものです。
もっとも、本人の年齢、健康状態や精神状態(心持ち)を考えると、法的な手続きをするに時期早々ということもあるでしょう。
また、法的な手続きをすること(例えば、遺言を書くこと)は、義務ではありません。手続きにかかるお金も考慮すべきです。良いか悪いかは別として、遺言を書かないという選択肢も尊重されてしかるべきだとは思います。
(※実務上、遺言書がない相続手続きの方が多いと思われます。)
とすると、エンディングノートの役割は・・・
① 自分のエンディングに向けて、現状の整理や状況の把握すること
または
② 遺言や他の法的な手続きをしない場合(しなかった場合)に、老後や相続に関する羅針盤として
上記①と②に、エンディングノートの存在意義がありそうです。
当職の経験では、「エンディングノート」と書かれた書類を、実際の手続きで使用したことは、残念ながらありません。
ただし、ワードで子細にわたり財産の内訳を書き留められていた方、遺言書としては無効だったものも、ご家族にあてたメモ書き(これもある意味エンディングノート!)を遺されていた方など、ご逝去された方の配慮に(人知れず)助けられたことはあります。
次のコラムでは、どんなことをエンディングノートに書けばよいのか(どんなことを書けば、遺されたご家族の助けになるのか)、司法書士の目線から解説していきたいと思います。
「宣伝」
司法書士横浜こころ法務事務所では、エンディングノートを含め、遺言書を遺すべきかどうかなど、お客様の相続や老後の悩みにつき、ご相談・ご対応をさせて頂いております。
ご相談の詳細につきましては、以下のHPをご覧ください。