横浜市の相続専門司法書士事務所

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column

実際の死後事務委任契約の履行⑤お別れの時

(前回の続き)

Aさんはのんびりと施設での生活を楽しんでいらっしゃいましたが・・・

 

ある日、施設の職員からご連絡あり、「Aさんが腹痛を訴え、病院に入院している」との連絡を受けました。

当職は、すぐに病院(※1)にかけつけ、Aさんと一緒に病名の告知(※2)を受けました。

※1 財産管理等委任契約には、入院に関する事項も含まれているため。

※2 病名の告知への同席は任意。Aさんが希望されたため。

 

その後、Aさんは「病院で亡くなるのは嫌だ。ホスピスで最後を迎えたい」と希望されました。

当職は、施設の退去を手配し、ホスピスにAさんを移し、そして、その最後を看取りました。

その後、契約書のとおりに、ご葬儀・埋葬・墓じまいを行い、当職の報酬や費用を控除した金員を、遺言執行者(某信託銀行)に引き渡しました。

 

Aさんを知る人に、Aさんがご逝去した旨のお手紙も出しました。

そのうちの何名からご連絡があり、「Aさんは、いい人を見つけ、自分らしい最後を迎えられたね」とのお言葉を頂きました。

当職も、Aさんは最後までAさんのまま、その人生を全うされたと感じました。

すべての人がAさんのようにはできないと思います。また、専門職の他に頼りになる親族の方などがいれば、その必要もないでしょう。

その一方で、遺族(相続人)の方に何も連絡しないまま亡くなって、困り果てた遺族(相続人)の方々が、当職まで相談に来るケースがあります。

そういったケースでは、往々にして、多額の費用が必要になってしまいます。

 

「いかにして生きるか」ということも難しいですが、「いかに亡くなるか」ということもそれと同じか、それ以上に難しいことです。

Aさんは、当職に、一人の人間として素晴らしい生き方を教えてくれた気がします。

また、当職が、少しでもそのお手伝いができたのなら、光栄です。

最後に、Aさんのご冥福をお祈りいたします。